論文覚え書き9

Why a Proximity-Induced Diels–Alder Reaction Is So Fast
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ol301083q

P. S. BaranらのVinigrolの全合成は記憶に新しい(http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja908194b)。
この全合成のポイントの一つであるDiels-Alder反応が非常に速く進行することに注目し、計算化学を使ってその理由を解き明かしている論文。元々ジエンとジエノフィルが近いゆえにエントロピー的に有利なこと、遷移状態のC-C結合がno strainに近いこと、[2,2,2]-heptane骨格上のイソプロピル基と隣接水素の立体障壁などが理由のよう。

Internal Lewis Acid Assisted Benzoic Acid Catalysis
https://www.thieme-connect.de/DOI/DOI?10.1055/s-0031-1291048

Hydrogen Bond Donor(HBD)と称される、酸性の有機触媒を用いて触媒的にインドールとニトロビニルベンゼンを反応させた論文。
不斉ブレンステッド酸みたいに、カルボン酸の水素が酸として・カルボニル酸素が塩基として協奏的に働いている反応機構の予想図が書かれてます。でもホウ素があるとカルボニル酸素の塩基性が弱まるような。。。
酢酸じゃ行かないんでしょうかね。対照実験ないので不明です。